アキコマ純情〜あきたこまち17歳文學〜




雨が降っていた日です。
朝から小降りの雨が降っていて、いつも一緒に登校する友達とその日も同じように登校しました。

が、その日はその友達がよく躓くのです。
どちらかというと、いつも躓くのは私の方です。

「今日は足下に注意しなさいって神様が言ってるんだよ、きっと」

私は冗談半分で友達に言ったのですが、まさかその日にあんなことが起こるなんて思ってもみませんでした…。



事が起こったのは放課後。

「帰ろうか」

私は朝の友達ともう一人の友達と一緒に傘をもって帰ろうとしました。

部活終わりで大分外は薄暗くなってきており、廊下も薄暗かったです。

私は教室を出たあと、忘れ物を思い出して朝の友達に傘を預けて一旦戻りました。

急いで忘れ物をリュックに入れて急いで戻ってみると、トイレに駆け込もうとしている友達と、その後ろを追いかけようとしている傘を預けた友達が目に写りました。

傘を持った友達が走り出そうとして前に出した傘に躓き、足がもつれ、盛大に前にスッ転びました。

私の傘は何故かポーンと高く跳ね上がり、とんでもない方向に、とんでもなく遠いところにくるくると回りながら飛んでいきました。

それを目で追った後、転んだ彼女を見ると、まだ起き上がっていないじゃないですか。

驚いて心配して駆け寄ると、うつ伏せに倒れた状態で肩が震えています。

「大丈夫!?」

もう一人の友達と二人で声をかけると彼女はガバッと起き上がり、その場にペタンと座り込みました。

「フフフ…、あはははははは!」

何やら笑いだした彼女を最初は驚いて見ていましたが、よくよく先程の光景を思い出して、私も思わず彼女と笑ってしまいました。

彼女が転んだとき、割りと大きな音がしたからなのか、吹き抜け部分にいる私たちは、二階、三階から丸見えで、割りと大勢の人が何事かと私たちを覗き込んでいました。

終いには騒ぎを聞き付けた先生が登場して、三人で「大丈夫です」と笑いながら事態を収集する始末。

とは言ったものの、転んだ彼女の両膝は痛々しく擦りむけており、血が滲んでいました。

彼女は思い出したように私が預けた傘を拾いにいき、

「本当に、足に気を付けてればよかった」

と苦笑いで戻ってきて私に傘を返しました。

「あたしも、傘預けなければ転ばないですんだのにね。ごめんね」

「いやいや、あたしがトイレに駆け込もうとしなければ走ろうとして転ぶこともなかったはずなんだよ」

と、今度は三人でよく分からない「謝り」大会。

ひとしきり笑って外へ出て、さあ傘を広げようと手元のボタンをカチッ…あれ?
カチカチッ…あれ??

開かない。

おかしいなと思って傘全体を見ると、なんと傘がカーブを描いているじゃありませんか。

「あ」

どうやら彼女が転んだときに曲がってしまったようです。

その事実に今更気付いたということで、また笑ってしまいました。

その後なんとか力ずくで傘をほぼまっすぐな状態に直し、無事傘をさして帰ることができました。

神のお告げとか予言とか、あまり信じない方でしたが、その日ばかりはもしかしたら、と思ったアキコマ純情。



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