アキコマ純情〜あきたこまち17歳文學〜




ちょっと前の話です。
私が修学旅行に行って帰ってきたときの話です。

修学旅行後の2日くらいのお休みの後、学校にいくと、思ったとおり皆お土産の交換をしていました。

私の学校は国内組と国外組に分かれて旅行に行くので、交換のしがいがあるんです。
第二の楽しみですね。

そんなわけで、もちろん私もいろいろもらいました。

お菓子、キーホルダー、お菓子、お菓子。
美味しかったですし、可愛かったです。

その日はどのクラスもお土産や旅行の土産話で盛り上がっていて、とても賑やかでした。

休み時間のたびに他のクラスの友達からもお土産をもらったり、気が利く子は撮った写真を現像して手渡してくれました。

そんな和やかな一日を、先生方もその日だけはいろいろと見逃してくれていたのかもしれません。
職員室もいつもより生徒であふれかえっていて、何でだろう?と思ってよく見てみると、先生へのお土産を買った生徒が結構いたためでした。


昼休みにはだいたいの人がお土産を渡し終わり、落ち着いて昼食をとっていました。

わたしも、いつもの4人組で机をくっつけて、旅行の話をしながら楽しく昼食をとっていました。

・・・毎度の事ながら、事件はたいてい、この時間に、この和やかな昼食時に起こるのです。

「ねぇねぇ、これ食べる?」

私達のグループがある程度食べ終えて旅行話が盛り上がっているときでした。
国外に旅行に行った友達が、手のひらサイズの小さな箱を持って来ました。

その箱は、韓国経由で旅行に行ったため、その途中の韓国お店に立ち寄ったときに買った物だと彼女は言いました。

「なにそれ?」

私が興味を持って聞くと、彼女はパッケージを見せてくれました。

・・・椅子に座っていましたが、少し後ろに引きました。

「・・・虫・・・?」

「うん」

私と彼女がそうやり取りすると、一緒にいたほかの三人は、まず「え?」と身を乗り出してパッケージを見て、そしてすぐに元の位置に戻って同じような『嫌そうな』表情をしていました。

そんなことはおかまいなしとばかりに、彼女は箱の中身を私に見せました。

「う・・・わ・・・」

虫は他の女子に比べて平気で、スズメバチを雑巾越しにつかめる私でも、流石にこの声はでました。

・・・これはない・・・。
無理。

スズメバチが大丈夫な私も、芋虫系は苦手でした。
今まさに、目の前にその芋虫系がいます。

周りにいたいつもの三人は、箱が開けられた瞬間に、椅子から立ちあがって教室の隅に避難していました。

鳥を飼っている人は分かると思いますが、今私の目の前にあるのは、よく鳥の餌のコーナーで売っている、あのワーム・・・の乾燥体です。
それに、調味料的なのがかかっています。

「これ味ついてるんだよ。食べる?」

あたしさっき「うわ」って言ったよね?
聞いてた?

「食べないよ。無理だよ。ってか、あんたは食べたの?」

「いや?」

いや?じゃないよ。それが何か?みたいな顔をしないでおくれよ。
なおさら食べたくないよ・・・。

私がげんなりしていると、避難していた一人の友達が、戻ってきました。

「それ、めちゃくちゃリアルだね?」

「食べる?」

あ、それ本物にめちゃくちゃ似せたお菓子だったの!?

吃驚してもう一回ワームを見ました。
・・・そう言われると、作り物に見えてきた。

なんだ・・・。てっきり本物だと思ったよ。

そう思うと、別に食べてもいいかな・・・と思いました。
今や私達の周りは、結構な人数が集まっていました。
皆興味深々にそのお菓子を見ています。

・・・ついに、一人がワームもどきに手を伸ばしました。

「おー!」

周りから歓声が上がりました。
ワームもどきを手に取ったのは一人の男子でした。

口に入れ、食べました。

固唾を呑んで見守っていた人たちに向かって、その男子はこう言いました。

「パリパリしてた。味はまあまあ」

・・・ふーん。
としか言えません。

箱を持ってきた彼女はというと・・・。
吃驚した表情をしている。

「よく食べれたね!?」

いや、お前が食べるって聞いたんじゃん。
確かに、本物そっくりだから口に入れるのはすごいと思ったけど。

「虫食べることに抵抗はないの!?」

「いや、だって作り物だろ?」

「え、本物だよ?」

その場が凍りつきました。

・・・・なんて?Onece more please.

食べた男子も、瞬きを繰り返しています。

「え?だってリアルだって・・・」

「あたしは一言も作り物だって言ってないよ?」

・・・よくよく思い返してみると、確かに彼女は一言も作り物だとは言っていません。
友達が勝手に勘違いして言っただけでした。

その後、その男子生徒がトイレに駆け込んだのは言うまでもありません。

その様子を見て、あの時食べようと思った私危なかった・・・と胸を撫で下ろし、男子生徒をあわれに思ったアキコマ純情。



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