アキコマ純情〜あきたこまち17歳文學〜




これはある夏の日の、一人の女子高生の失敗談。

その日は、職員会議とやらのおかげで学校が午前で終わり、部活もないから早く家に帰ってのんびりしようと考えていた、ある一人の女子高生がいました。
いつもは電車で登下校をしている彼女ですが、この日は電車ではなくバスで、しかも一人で帰ることにしたようです。
事の発端は、彼女がコンビニに行こうと思ったことから始まります。

(あ~あ・・・。都会みたいにもっとたくさん電車の本数があればいいのになぁ・・・)

彼女は早く家に帰るために、電車よりもずっと早い時間に出ているバスに乗ろうとしているのですが・・・。
田舎ですし、電車の本数の問題は仕方がありません。とはいっても、女子高生のお財布事情はなかなか厳しいものです。
定期券を買ってある電車ではなく、バスに乗って百円玉と十円玉を数枚消費することは、バイトをしていない身ではかなりの痛手です。

(バス時間までまだ少しあるし、コンビニでお菓子でも買ってこようかな)

女子高生というものは、お菓子には出し惜しみはしない。
どこの女子高生もそうなのでしょうか?
バス停からコンビニまで、歩いて約十分。コンビニに着いた彼女は、早速バスの中で食べる用のお菓子を選び始めました。
・・・何か見つけたようです。

(あ!『じゃ○りこ』の期間限定版じゃん!どうしよっかな~。)

まあ、『期間限定』って言葉には惹かれますよね。わかります。

(でもなんとなく、今は『ポテロ○グ』のサクサクがほしい・・・。)

食感の違いは、確かに重要ですね。
・・・あれ?そうでもない?そうですか・・・。
そうこうしているうちに、どうやら彼女は散々まよった結果『ポテロ○グ』に決定したようです。 レジに向かった彼女は、ハッと何かに目を奪われました。
・・・肉まんです。
ちょうどお昼時だったようで、おなかが減っていたのでしょう。
彼女の目は、しばらく肉まんに釘付けとなっていました。
しかし、その視線はすぐ横のカレーまんへと平行移動しました。
お財布の中身を確認して、やっとレジに進みました。
結果的に、彼女がコンビニで買ったのは、『お茶』と『ポテロ○グ』と『カレーまん』でした。
会計を済ませ、コンビニの時計を見た彼女はコンビニの中にもかかわらず、
「うわっ」
と声に出しました。
バスの時間まであと六分。
全速力で走らないと間に合いません。
彼女は店員さんが「ありがとうございました」というのも聞かずにすぐにコンビニを飛び出しました。


息も絶え絶え、なんとかバスの一番後ろの席に乗り込んだ彼女は、真っ先にお茶を飲みました。
全速力で走った体とカラッカラに乾いた喉に、冷たいお茶がスーッとなじみ、彼女はつい、
「あー!」
と声に出してしましました。
それこそ、学校帰りの生徒や買い物帰りのお年寄りで満席になっているバスの中で。
すぐに気づいて、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、しばらくうつむいていました。

(やばい・・・目立たないようにしよう・・・)

当然のごとく、周りの人は気づいていながら誰もそのことにはふれません。
思ったことは、変な子だなーと一瞬思った程度です。
しばらくしてやはりおなかが減ったのか、彼女は先ほど買ったカレーまんを袋から出しました。
一口食べます。

(あ、おいしい!でも・・・あれ?なんか・・・。)

幸せな気分に浸かったのもつかの間、彼女はすぐに慌てた様にカレーまんを袋に戻しました。
何故って、匂いが狭いバスという密室の中に充満したからです。
思ったよりもカレーまんの匂いはこの密室では脅威だったようです。
カレーまんをしまった彼女は、空腹を和らげるために今度はポテロ○グを取り出しました。

(これだったら大丈夫だよね!)

一本を口の中に入れます。

「ザクザクザクッ・・・。」

(え・・・。ザク・・・?)

・・・ポテロ○グを噛んだ音です。
バスの中は、乗客はたくさん乗っているものの誰一人声を出しているものはなく、静寂そのものでした。
その中で、思いのほか大きな音で「ザクッ」なんて音が自分の口から出たため、彼女は今日一番の慌てぶりを見せました。

(え、ぇええ!?ポ、ポテロ○グってこんなに音大きかったっけ!?)

しかし、口に入っているものを出すわけにもいきません。
唾液で少しは湿っただろうと思い、意を決して再び噛みました。

「ザクザク・・・ザク・・・」

(え、効果なし!?え、どうすればいいの!?誰か助けて~!)

彼女はちょっとしたパニック状態です。
この程度で何を(笑)と思うかもしれませんが、やってみるとわかるものです。
別に誰が聞いてるとか見てるとかというわけではないですが、かなり恥ずかしいです。

(しかもこれ以外と喉渇くし・・・)

全速力で走った文化部の喉に、スナック菓子は止めの一撃だったようです。

結果的に、彼女はポテロ○グとカレーまんを諦めて、お茶だけで空腹をしのぎ、家へ帰りました。


次の日、彼女はこの体験を友達に話して声も出ないほど笑われたアキコマ純情。



第2話▶